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妙音新聞9号 至誠は仏道、仏なり

「至誠はこれ仏道なり、至誠はこれ仏なり」の金言

年頭所感(昭和27年1月号、妙音9号から) 神代 智辯尼

お互いに27年の新春をお迎えしておめでたいことです。
思い返しますと有為転変の世に処しながら無事平和の春を迎えらしは是ひとえに仏祖のご冥助と深く喜ばねばなりません。
さて新年をお迎えしますと世の中という者はおもしろい物で自然と人々の心も陽気となって昨年あったいろいろの出来事、悲しい事、苦しい事すべてをうち忘れて、唯目出度いと胸一杯になって、今年は是非昨年より己上に何々と頭に種々の事を思い浮かべてみるものでございます。





私も今年は「誠の力」ということを年頭に申し上げまして、本年はこの力ですべてを成し遂げ、またこれによって皆々さんとともに進んで行きたいと思います。
誠の力というものは、偉大なるものでありまして、かの有名な加賀の千代が「水仙の香やこぼれても雪のうえ」と詠んだ句がありますが、真に美しく咲いた水仙の花が雪の上になげかけているのを見ると何となく気高くなつかしい花であります。
それと同じように、美しい誠の心もおそらく水仙の花のようでしょう。
草も木も冬枯れの野辺に、独り水仙のみが寒空白雪のうえに咲いているように人の心の誠の実は困難辛苦の中にも美しく開きます。
誠の力ほど強く人の心に感化を与えるものはありません。
誠は真の幸福を生む母で、すべての名誉財産地位等皆この誠から湧きいずるのであります。
よって誠は、人生道徳の根源であり、大本と申すのであります。
孟子には「誠は天の道なり、誠を思うは人の道なり」、また仏法の中にも「至誠これ仏陀」とあります。
誠は仏道であり、人の歩むべき道はこれ誠であり、我ら弁天様を信仰するお互いは、常にこの誠の意を心に持ち、手を合わせても誠でなければ空念仏に等しいことです。
すべての人間生活のうえに誠なき人生は空人形です。
世界には色々の沢山の宗教がありますが、いずれの宗旨もその説くところは、皆同じ事です。
誠より外になにものもありません。
心の曲がった信仰、誠なき新人は何事をなしてもダメであって、お互いの心が1つ大きな誠に動かされさえすれば、どんな難にも打ち勝つ事ができ、またいかなる大事業も希望も願いに任せて、仕遂げることができると思います。
お互いにこの27年の新春にあたり、「至誠はこれ仏道なり、至誠はこれ仏なり」の金言を現実にすることが肝要であり、実行し、仏の行を修したいと思います。