故梅木先生回想録93

故梅木先生回想録93

御所教会の機関紙「幸真」昭和21年3月1日号から頂きました。
故梅木弁雄様回想録
お宗祖様のお話では、故梅木先生は弁天さまがお前に2人の弟子を与えてやると言われ、与えられたお弟子さんの1人です。
故梅木先生回想録92からの続きです。
回想録80に戻ります。

若い頃から青雲の志を立て、変転きわまりない道を歩んできた。
最初は身を立てる志で出発したが社会科学を学ぶに及び、個人の幸福は個人お集まりである社会全体の幸福達成がなければならないと考え、人間と社会を愛し続けて色々な仕事を手がけてきた。
だが、いずれもその目的を達する事ができず、しかも今、思いもよらぬ罪を犯し、その裁きを受ける身となり果てたのだ。
これが人を愛し、社会を愛し続けてきた私の身の果てなのか。
寂寥の思いが私を襲った。
こんな数日を送ったある日、組合の理事長と物価庁の事務官が訪れた。
「いよいよ告訴の宣言がきたか」
来るべきものがきたと観念した。座を改めて対面した。
「実は局長と相談した結果、これはあなたの責任ではないという事になりました。
あなたはいろいろな困難な徴収について、業者のとりまとめに奔走していただき徴収もスムーズに進んでいたのです。
ただ不心得な一部の業者が納付を怠ったため、あなたが組合の経費を流用されたので、責任は滞納者にあるのです。
今後は理事長を打ち合わせて、残額を徴収して組合を整備してもらう事になりましたので、あなたに何も責任のない事をお知らせにまいりました。
なお、局長からの伝言ですが、1日も早く健康を回復して、再び国家社会のため、新しい時代の指導者として活躍してくださる事をお待ちしていますという事です」
と付け加えた。
事務官の話をジッと聞いていた私は、胸の中に熱いものがこみ上げてきた。
「ありがとう」
あとは、感激にふるえて言葉が出なかった。
「ありがとうございます」
思わず口の中で唱えた。
それは目の前の事務官や理事長へではない。
熱いまぶたの中に浮かんできた弁天さま、尊女のお顔に対してだった。
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by nohara4241 | 2009-03-19 00:10 | 講師の回想