故梅木先生回想録90

故梅木先生回想録90

御所教会の機関紙幸真昭和20年12月1日号から頂きました。

故梅木先生回想録89からの続きです。
回想録80に戻ります。

入口に立って「ここはどこだろう」と思いながら左手にある手洗い所(大和本部は湧水の手洗い所)の井戸に近づいた。ちょうど夏のことであったので、喉が渇いていた。
手を洗うつもりで、車井戸のツルベをガラガラとたぐって、水の入ったツルベを汲み上げ、井戸の側に置いた。
「やれやれ、美しい水がいただける」汲み上げたツルベに口を付けようとして、「あっ」
驚いて思わず後ろに飛び下がった。そのはずである。
汲み上げたツルベの中には、年老いた白蛇の太い胴体が丸くうずくまって、古びたウロコが黒ずんで見えた。
あまりの恐ろしさに2・3間飛び下がった私は、腰が抜けたのか身動きができなかった。
恐ろしさに砂の中に顔を埋めて、地面の中に隠れるようにしがみついた。
やがて井戸側の上のツルベに紫色の衣装がフワリとかかった。
「あれ」と思うとその上に首が乗った。その顔は白髪を逆立てたやせ衰えた大きな顔だった。
「あっ、恐ろしい」と思っていると、その紫の衣装を着たおきなはソロリソロリと私の方に向かって歩いてくれではないか。
どうかして逃げよう逃げようとあせるが、身体は身動きができない。
おきなは段々近づいてきた。
遂に私の頭のところまで近づいてきた。
「ああっ、もうダメだ」と思った瞬間、そのおきなはガバッと上から私を羽交い締めにした。
「あっ」その恐怖の瞬間から、私は夢心地の世界に入った。
それは今までかって経験したことのない夢幻境だった。
こんな平和な喜びに溢れた境地があるのだろうか。
何という幸福感だろう。
と幸福の境地を満喫していた。
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by nohara4241 | 2008-12-05 17:31 | 講師の回想